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映画「セッション」がひどい!?「最低」「嫌い」と言われる理由とは

2014年公開の映画「セッション」は、ジャズドラマーを目指し名門音楽学校に通う青年と、音楽学校のスパルタ教授の関係を描いたヒューマンドラマです。アカデミー賞を3部門受賞し、日本でも公開と同時に話題になりました。

この映画「セッション」を観て“ひどい”との感想を持つ方も多いようです。なぜ“ひどい”という感想があふれているのか?「セッション」が“ひどい”と言われる所以を調べてみます。

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2014年公開 「セッション」

 この映画が日本で公開された時、映画ポスターのビジュアルと予告編映像にものすごいインパクトを受けた記憶があります。映画ポスターとほんの数分の映像だけで、内容が気になってしまうほど、「セッション」には人を惹きつける斬新さと新鮮さがありました。「セッション」の評価を探るまえに、この映画の概要とあらすじをおさらいしておきましょう。

あらすじ

 名門音楽大学に入学したアンドリュー・ニーマン(マイルズ・テラー)は、一流のジャズドラマーを目指し猛特訓していました。その演奏を聞きつけ現れたのは、この学校の教授テレンス・フレッチャー(J・K シモンズ)。ある日ニーマンは、一流と名高いフレッチャー率いるジャズバンドに、ドラマーとしてスカウトされます。歓迎ムードで迎えられたのも束の間。フレッチャーは鬼のように豹変し、怒鳴り声でニーマンの演奏に厳しい要求を突き付けます。フレッチャーのレッスンは、完璧を求めすぎる狂気に満ちたレッスンだったのです。来る日も来る日も、浴びせられる罵声と侮辱、理不尽な要求、仕掛けられる罠。ニーマンは精神に限界をきたすも、ドラムのスティックを置くことはありません。ニーマンとフレッチャーの音楽を通じた静かなる戦いは続きます・・・。

観なくても狂気が伝わってくる映画

 皆さんはこの映画のポスターと予告編を見たことがありますか?ポスターは、ドラムを叩くニーマンと鬼のような形相で彼に激を飛ばすフレッチャーの2ショットです。公開当初、このポスターだけで絶大なインパクトがあったのを覚えています。予告編は華やかなジャズのBGMから始まり、ミュージカル映画のような雰囲気です。そこから一転して、演奏テンポを間違えたニーマンに、パイプ椅子を投げ、ビンタを浴びせるフレッチャーのスパルタ映像が流れます。

アカデミー賞受賞作品という先入観を抜きにしても、予告編だけでフレッチャーの狂気が頭に焼き付いて離れなくなる、不思議な力を持った映画だと思います。この映画の予告編の最後でPRされる「映画史が塗り替えられるラストの9分19秒」という謳い文句も、多くの人の好奇心をあおりました。

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「セッション」“ひどい”とされる根拠は?

 インターネットで「セッション」に関して調べると、“ひどい”という単語が目立ちます。アカデミー賞受賞作品である映画に、なぜこのような評価が目立つのでしょうか?その理由を映画の内容を踏まえて考察していきます。

ストーリーが“ひどい”

 「セッション」は、常軌を逸した指導と豹変ぶりを見せるテレンス・フレッチャーと、それに耐え忍びドラマーとして成長していくアンドリュー・ニーマンの関係を描いたヒューマンドラマです。ヒューマンドラマと聞くと、山あり谷ありの主人公の生き様に感動を覚える作品が多いですが、この映画は例外です。終始フレッチャーの狂人ぶりと、それに対して精神をすり減らすニーマンの姿が映ります。観ている側も心休まる時間はほんのわずか。ホラー映画とはまた違ったドキドキ感が続きます。ジャズ音楽の世界と、フレッチャーが作り出す緊張と狂気の世界にギャップを感じ、“ひどい映画だ”と嘆く人も多いのではないでしょうか?しかし手に汗握り、心が疲労するほど映画の世界観に浸かれるようになっている本作は、やはりタダ者ではない異質さとエンターテインメント性がある作品だと感じます。

登場人物が“ひどい”映画

この映画の検索ページで“ひどい”と評されているのは、映画の内容ではなく登場人物のキャラクターかもしれません。いうまでもなく、テレンス・フレッチャーの狂人ぶりは、今のご時世にそぐわないキャラクターです。フレッチャーが音楽学校の生徒に対して行う暴力や侮辱はもちろん、人種差別、性差別的発言は、コンプライアンス違反の塊のようなもの。完璧を求めすぎるがゆえのフレッチャーのレッスンは、“音楽”の“楽”の部分を忘れているようにみえ、純粋に音楽を楽しんでいる人たちの目には良く映りません。

さらには、フレッチャーの厳しい指導が原因で鬱を患い、自殺してしまった生徒がいること、それを隠そうとしたフレッチャー本人。ニーマンに、大勢の前でドラマーとして恥をかかせるための陰湿な罠を仕掛けるなど、フレッチャーはやりたい放題。そんな彼の横暴に、怒りが湧いてくることから、“ひどい”という評価が多くなったとも考えられます。

しかし、フレッチャーの人間性から“ひどい”という感想が湧き上がってくることは、この映画としては思惑通りの展開なのではないでしょうか?テーマが「天才 vs 狂気」とあるこの映画。観る者をこの世界観に引きずり込み、まるで自分がフレッチャーの横暴の被害者であるような感覚に陥らせるその魔力が、この評価に繋がったのだと考えられます。これは、狂人フレッチャーを演じるJ・K シモンズと、精神を奮い立たせドラムに憑りつかれるニーマン役のマイルズ・テラーの迫真の演技あってこそ。そんな2人の演技に賞賛を送りたくなります。

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まとめ

 映画「セッション」の“ひどい”という評価に関して、その所以を映画の内容から考察してみました。このような評価の要因は、テレンス・フレッチャーの狂人ぶりとそこから生まれる緊迫感が占めていて、決して映画の内容自体が酷評されているわけではないことが考えられます。映画の内容はニーマンとフレッチャーの音楽を通じた戦いのようなものが中心で、ニーマンの恋愛や家族との物語はさらっと描かれているだけです。映画の中に“癒し”の部分が無かったのも、それゆえにフレッチャーの狂人ぶりが目立ち過ぎたのも、フレッチャーに対する“ひどい”という評価を後押しした要因かもしれません。

 みなさんもぜひこの映画を観て、ホラー映画とは違った緊張感を覚える世界を体感してみてください。

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