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ウエストサイドストーリーが伝えたいこととは!?人種差別や時代背景

「ウエストサイドストーリー」は1961年に公開されたミュージカル映画で、2022年に映画界の巨匠、スティーヴン・スピルバーグの手によってリメイクされました。

なぜ60年以上前の作品が、この時代にリメイクされたのでしょう。「ウエストサイドストーリー」が伝えたいこととは何なのでしょうか?

メッセージ性が強い作品として名高い「ウエストサイドストーリー」の伝えたいことを、時代背景などを織り交ぜて考えていきます。

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2022年公開 現代によみがえったミュージカル映画の名作

ウエストサイドストーリー 概要

舞台は1950年代ニューヨーク・マンハッタンのウエストサイド地区。ここは白人貧困層や移民層が暮らす街。経済的にも文化的にも黄金期と呼ばれ、華やかにスポットライトを浴びるアメリカの“影”の部分をリアルに、時にはロマンチックに描いたミュージカル映画です。この映画が初めて公開されたのは1961年。公開から60年以上が経っているにもかかわらず、“名作”として今でも映画史に名を残す「ウエストサイドストーリー」。それを2022年にスティーヴン・スピルバーグがリメイクし、現代によみがえらせました。

本作を観てみると、なぜ60年以上も前の映画が再びリメイクされたのか?その理由が少しわかりました。舞台が1950年代の「ウエストサイドストーリー」ですが、その内容は現代を取り巻く様々な問題が、まるで鏡のように映し出されていました。

描かれていること

「ウエストサイドストーリー」では大まかに次のヒューマンドラマが織り込まれて構成されています。

・対立する人種間の争い

この映画の舞台となっている、1950年代のニューヨークマンハッタンウエストサイド地区は、白人の貧困層と世界中からの移民の人々が暮らす街です。この街では、人種間での考え方の違いや差別により、争いが日常茶飯事。「ウエストサイドストーリー」では、この地区のプエルトリコ系不良グループ「シャークス」と白人貧困層の不良グループ「ジェッツ」の対立模様が描かれています。

・対立派閥間での禁断の恋

「ウエストサイドストーリー」の主軸は、主人公トニーとマリアの恋物語です。トニーは元「ジェッツ」のリーダーであり、マリアはジェッツの対立グループ「シャークス」の現リーダーの妹。トニーとマリアの2人は、本来は惹かれあってはいけない者同士なのです。

そんな2人の苦悩に満ちた恋愛模様が、残酷にロマンチックに展開されていきます。

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今世界で起きていることとウエストサイドストーリーはどうリンクするのか?

話は映画の世界から飛び、現世界のことを少し考えてみましょう。コロナウイルスの流行をメインに、現世界では目まぐるしい情勢の変化が起きています。その中でも人間同士の価値観が交差する出来事が特に目を引きました。

記憶に新しいのがロシアのウクライナ侵攻。ミサイルでの爆撃や銃撃戦により、多くの罪なき人々が命を落としました。連日の痛ましいニュースの数々は、「なぜ人間同士、分かり合えないのだろう?」という、どこか他人事のような疑問が頭をよぎった方も多いのではないでしょうか?

また2020年にアメリカを中心に巻き起こった「Black Lives Matter」という人種差別抗議運動も記憶に新しいできごとです。アフリカ系アメリカ人の男性が、白人警官に残虐な尋問を受けた末に死亡した事件をきっかけに、黒人へのいまだ残る人権侵害や差別への抗議がエスカレートしていきました。人種差別は単一民族の日本でもひとごとではありません。日本へやってきた外国人への差別や人権侵害問題が取りざたされています。

また差別をなくそうという似た動きとしては、「ジェンダーレス」という考え方も世間に浸透してきました。性別による差別や偏見をなくそうとする動きは、ファッション業界や映画の世界にも大きな変化を与えました。最近は個人情報入力の「性別」の欄に「どちらでもない」という選択肢が追加され始めたのが印象的です。

このように世界のあらゆる所で、「人間のいままでの価値観」を大きく変える出来事が起きています。

ウエストサイドストーリーが伝えたいこと

ここで話を「ウエストサイドストーリー」に戻しましょう。この映画で描かれている貧困層と移民層の価値観の衝突や、同じ人間同士なのに恋することが許されないトニーとマリアの関係などは、どこか現実世界にリンクしているところがあります。考え方の違いによる対立や正々堂々と恋愛ができない立場の違いなどは、世界中で巻き起こっている人間の価値観の違いから起こる情勢変化を鏡で映し出したかのようです。

もっと大げさに言うと、60年前のアメリカの一部地域で起きていたようなことが、今は世界中で起きているとも解釈できます。「ウエストサイドストーリー」は、現世界で何が起きているのかを、人々に伝えようとしているのではないでしょうか。

これが60年の時を超えて「ウエストサイドストーリー」がよみがえった理由だと考えられます。しかし、ただ何かを伝えるだけでは何も変わりません。映画を観た我々が、今一度世界で起きている問題の数々と向き合うことができて初めて、「ウエストサイドストーリー」は生まれ変わった意味を成すのです。

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まとめ

今回は現代によみがえったミュージカル映画の名作「ウエストサイドストーリー」が伝えたいことを、映画で描かれているストーリーから考察してみました。映画の観方は人それそれで、純粋にミュージカル映画として楽しみたい方もいれば、映画に隠されたメッセージを読み取ろうとする映画ファンもいます。どちらの方も、「ウエストサイドストーリー」をもう一度観る機会があれば、今の世界情勢とそれに伴う人間の価値観の変化や衝突を照らし合わせてみてください。そうすることで、いままで他人事のように思ってきた世界で起きている出来事の数々が、少しだけ自分事のように感じられるかもしれません。

映画には、難しい問題を観ている人々の心にスッと滑り込ませる力があると考えられます。リメイクされた「ウエストサイドストーリー」は、我々があまりピンとこなかった問題を考える“きっかけ”を与えてくれると同時に、それに向き合う必要性を教えてくれているのです。

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