DMMTVのサービス開始からもうすぐ一年が経ち、さらに熾烈な競争が繰り広げられそうな動画配信サービスですが、作品数でいうとやはりU-NEXTがまだ優位のようです。
今回は、U-NEXTで見られるホラー映画の中で「これが一番怖い!」と思える映画を5つご紹介します。
何に恐怖を感じるかは人それぞれ、一番怖いも人それぞれですが、参考にしてみてください。
U-NEXTで見れるホラーで一番怖い映画5選!
一番怖いのは?U-NEXTで見られるホラー映画5選
U-NEXTで見られるホラーで一番怖い映画5選をご紹介していきます。
1、残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋
最初にご紹介するのは、和風ホラーの傑作「残穢(残穢)」です。
主人公の「私」は、読者からの体験談をもとに小説を書いており、その中の一つに、河童のミイラというものがありました。九州に住んでいた親類の家に泊まったときのこと、夜中、決して入ってはいけないと言われていた部屋のドアを開けると、ゴーっという音とともに、焼けただれた手が伸びてきた、という話でした。
その後、ストーリーの軸となる話が、「私」のもとに舞い込みます。
手紙を送ってきたのは、久保という都内の女子大生で、彼女が住んでいる岡谷マンションの202号室では、畳の上を箒で掃くような音がする、という内容でした。
その後、また久保から手紙が届き、音のする部屋を確認したところ、着物の帯が見えたと書かれていました。ずっと聞こえていた奇妙な音の正体は、帯が畳に擦れる音だったのです。
「私」は、久保からの手紙の内容に既視感を覚えます。
思い出したのは、二年前に届いた手紙で、差出人は矢島という主婦、住所は岡谷マンションの405号室となっていました。
手紙の内容は、何かが床を擦るような音が聞こえ、娘が何もない部屋を見つめながら「ブランコ」と口にして、ぬいぐるみの首に紐を巻いて吊り下げ、揺らしながら、「ブランコ」と口にする……表面的には違うものの、擦るような音と、岡谷マンションという場所は共通しており、「私」は、久保の話と同じものかもしれないと考えます。
久保は不動産屋を訪ね、過去に事件や事故がなかったか尋ねますが、そういった事実はないと言われてしまいます。しかし、引っ越してきたばかりの隣人の家でも怪奇現象が起こり始め、久保は、怪奇現象は部屋ではなく、この土地そのものにあるのではないかと、「私」に相談してきます。
その後、「私」と久保は岡谷マンションが建っている土地について調べていき、マンションが建つ以前に住んでいた人たちのエピソードを聞いていきますが、やがてそれらは繋がり始め……といった流れで、物語は進んでいきます。
テンポはあまり早くなく、「静の怖さ」といった雰囲気の映画ですが、観たことを後悔するようなラストが待っています。
和風ホラー好きなら、観ておいて損はない作品です。
2、ヘレディタリー/継承
2つ目にご紹介するのは、蝕まれるような恐怖で引き込まれる「ヘレディタリー/継承」です。
主人公のアニーは、夫、息子、娘の四人家族で、ミニチュアの模型を作るアーティストです。個展を開けるほどの腕をもっていますが、あまり人には言えない悩みもありました。
アニーの母親であるエレンが亡くなり、おばあちゃん子だった娘のチャーリーは強いショックを受け、元気がありません。しかしアニーは、母親に対して普通とは違う、複雑な感情をもっており、葬儀でも涙を流すことはありません。
葬儀が終わり、家に帰ってエレンの遺品を整理していると、視線を感じます。誰もいないはずなのに、誰かに見られているような感覚がしましたが、気の所為だと考えて、部屋を出ます。
アニーとは違い、エレンを慕っていたチャーリーは、アニーがエレンに対して複雑な感情をもっていることも気づいており、まだ13歳ながら、感情を押し殺していますが、その反動か、死んだ鳩の首を切り落としたり、気味の悪い絵を描いたりと、奇行が目立つようになります。
アニーのほうは、自分自身を向き合うために、グループカウンセリングに参加したりと、なんとか心を安定させようと努めます。
母親という立場から見れば、ショックを受けている娘に寄り添い、悲しみを分かち合うのが正しいと思いますが、個展を控えている状況で、精神的にも疲れていたアニーは、息子のピーターから、同級生の家でパーティがあるという話を聞き、半ば強引にチャーリーを連れて行くように言い、ピーターとチャーリーは車でパーティに向かいます。
同級生と遊びたいピーターは、配っているケーキを指差し、あれをもらってこいと言って、友達とマリファナを吸いに言ってしまいます。言われたとおりにチョコケーキをもらって食べたチャーリーは、中に入っていたナッツがピーナッツアレルギーに反応して呼吸困難に陥り、ピーターは急いで車に乗せ、病院へ向かいます。
アクセルを踏み込んで病院へ急ぐピーター、どんどん苦しくなる呼吸に耐えきれず、窓を開けて顔を外に出すチャーリー。瞬間、動物が飛び出してきてピーターは咄嗟にハンドルを切りますが、車が進んだ先には電柱があり、チャーリーの頭は電柱に激突、首と胴体が切り離されてしまいます。
突然の娘の死に、アニーは精神を病んでいき、ピーターも幻覚のような症状に悩まされるようになります。
家族が崩壊していく……そんなアニーに手を差し伸べたのは、かつてグループカウンセリングで一緒になったジョーンという女性でした。
怪しいながらも、親身になってくれるジョーンと徐々に親しくなっていくアニーですが、家族はさらに不幸に飲み込まれていき、救いのないエンディングへと物語は進んでいきます。
アメリカっぽいホラー映画ですが、脅かしてくる、描写がエグいといったことはほとんどなく、精神的に追いつめられていくような怖さがある作品で、じわじわと侵食されるような怖さが好きな方にはオススメです。
3、エスター
3つ目にご紹介するのは、「この娘、どこか変だ」というキャッチコピーで知られる「エスター」です。
娘、息子と四人で、幸せな生活を送っているコールマン夫婦ですが、三人目の子供を流産したという傷を負っていました。夫のジョンは妻のケイトを支えますが、傷は中々癒えず、二人は前を向くために、孤児院から9歳の少女を引き取ります。
少女の名はエスターで、難聴の娘、マックスともすぐに仲良くなり、コールマン夫婦は安堵しますが、やがてエスターの持つ違和感に気づきます。
エスターのことを疑い始めるケイトと、心の傷のせいで精神に問題が出ていると考えるジョンは対立、カウンセリングもうまくいかず、前向きになろうと思って迎えたエスターをキッカケに、家族の絆は綻んでいきますが、やがてエスターの恐ろしい正体が牙を剥き始め、信じがたい事実が明らかになります。
少女の姿でサイコパスの怖さを体現するエスターの姿にゾクッとしますが、クライマックスで明らかになるエスターの正体は衝撃で、最後まで緊張感をもって見せてくれる傑作となっています。
続編の「エスター ファーストキル」を観る前に、こちらを観ておくことをオススメします。
4、アングスト/不安
4つ目にご紹介するのは、実際の殺人事件をもとに制作された実録スリラー、「アングスト/不安」です。
1980年のオーストリアで、ヴェルナー・クニーセクという殺人鬼が起こした事件を描いています。
ヴェルナーは10年以上を刑務所で過ごし、一ヶ月後の出所を前にして、就職先を探すために三日間の外出を許可されますが、その短期間にある家族を惨殺します。
殺人事件を扱った映画はたくさんありますし、刑事ドラマでは普通のことですが、この映画は違います。
物語は終始、殺人鬼ヴェルナーの視点で進みます。彼の頭の中で繰り広げられる、殺人への渇望と、人間を、自身の飢えを満たすための獲物としか見ていない、恐ろしい殺人鬼の思考を、90分近く観ることになります。
スプラッター映画や、人間とは思えない残虐さをもつ異常な殺人鬼や怪物が出てくるホラー映画を見慣れている人でも、この映画は観ていると気分が悪くなってくるかもしれません。
ヴェルナーは快楽型連続殺人鬼であり、性的な欲求と殺人、人を痛めつけて支配することと快楽が結びついているサディストです。そのため、10年ぶりに女性を見ても、頭の中で繰り広げられるのは、ナンパしようということではなく、どうやって痛めつけて殺そうか、という、理解できない思考です。
スプラッター映画のような派手さはありませんが、暗く、陰鬱とした雰囲気が終始続き、殺人も生々しく、ずっと観ているのがきつくなってくる映画です。
映画が製作されたのは、1983年と40年近く前ですが、当時世界各国で上映禁止となっただけあり、普通のホラー映画とは一味違った怖さと鬱さを見せてくれる作品となっています。
5、ミッドサマー
最後は、閉ざされた空間が生む狂気を描いた「ミッドサマー」です。
主人公のダニーは、神経症的傾向が強い(メンタルが不安定)な大学生で、同じような精神的問題を抱えた妹がいます。彼氏のクリスチャンも、ダニーの不安定さに困っており、別れを考えていますが、中々言い出せません。
そんなある日、ダニーの妹が両親を殺害して無理心中を図ったという衝撃の事件が起こり、クリスチャンはダニーを気遣って、パーティに誘います。
しかしそこでダニーは、クリスチャンは友人のペレの誘いで、スウェーデンのホルガという村で90年に一度行われる夏至祭に行き、祭りを取材して論文を書く計画を立てていたことを知ってしまいます。
何も知らされていなかったダニーは激昂、しかし結局、一緒にホルガ村に行くことになります。
ホルガ村は、見上げれば一面青空の美しい場所で、大自然に囲まれた村の人たちも、ダニーたちを歓迎、穏やかな時間を過ごせると思っていた矢先、食事の席で異常な光景を目撃します。
食事は全員一緒、初老の男女が上座に座り、彼らが食べなければ食事が始まらないというもので、ダニーたちは奇妙な状況に動揺しながらも、村人と同じように食事をします。
食事が終わると、村人は崖の上に移動し、何が始まるのかと思っていると、初老の女性が崖から飛び降り、続いて男性のほうも崖から飛び降り、まだ生きていた男性の頭に、村人は鈍器を振り下ろして殺害していまいます。
異常な光景にパニックになるダニーたちでしたが、夏至祭の異常さは加速していき、やがて彼らが村に来た理由が明らかになります。
ホラー映画にも関わらず、画面は明るく、暗闇の中で物音を立てないようにする、みたいな緊張感はありません。
しかし、その明るい中で繰り広げられる異常さは、特有の怖さがあり、閉ざされた空間で生まれ、育まれてしまった人間の狂気を見ることになります。
ホラーなのでしかたないかもしれませんが、後味は悪く、すっきり感はありません。
宗教的な怖さや、人間の狂気こそが一番の恐怖と考える方にオススメです。
恐ろしいのに観てしまうホラーの魅力
U-NEXTで観られる一番怖いと思う映画をご紹介させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
ホラー映画は、観たら後悔するかも……と思っても、つい観てしまう魅力があります。
夢に見てしまい、睡眠の質が落ちてしまうという方にはオススメできませんが、秋の夜長、お酒とつまみを片手に、タイプの違うホラー映画を観て、自分だけの一番を見つけてみて下さい。