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縞模様のパジャマの少年の「わざと」を考察!ラストの陰謀説

2008年に公開された「縞模様のパジャマの少年」は、第二次世界大戦中、ナチス軍人の家庭に生まれた少年と収容所に収監されているユダヤ人少年が禁断の友情で結ばれるドラマです。

「縞模様のパジャマの少年」をネット検索すると“わざと”という気になるワードが出てきました。一体、「縞模様のパジャマの少年」の “わざと”とは何なのでしょう?そこにはとある憶測がありました。

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「縞模様のパジャマの少年」とは?

 この映画を深堀する前に、映画の内容を把握しておかないといけませんね!もう映画を観た人は復習のつもりで、まだ観ていない人は「縞模様のパジャマの少年」がどのような内容の映画なのかをしっかり理解しましょう。

あらすじ

 舞台は第二次世界大戦中のドイツ。ナチス軍人を父に持つ少年ブルーノは、家族でベルリンから遠く離れた地へ引っ越します。そこは大きなお屋敷で、窓の外を覗くと裏の森の向こう側に、農場のような建物が見えました。好奇心旺盛なブルーノは、裏の森へ入ろうとしますが母親に禁止されます。それでもあきらめきれないブルーノは、家族やメイドの目を盗み、裏の森へ。以前遠くから眺めた農場のような建物がある場所へたどり着きます。

 そこは有刺鉄線が張り巡らされ、柵の向こうには縞模様のパジャマを着た少年が座っていました。よく見ると、柵の中の人達は全員が同じ縞模様のパジャマを着ています。そう。ブルーノが農場だと思って近づいた場所は、ナチス軍によって捕えられたユダヤ人を奴隷にしたり、毒殺したりするための強制収容所だったのです。ブルーノが家族全員でベルリンから引っ越した理由は、ブルーノの父がこの強制収容所での任務に就くためでした。

ブルーノは、柵越しの少年シュムールと話していく内に、彼に興味を抱きました。ブルーノはその日以来、親の目を盗み頻繁にシュムールに会いに行き、彼と秘密の友情を紡ぎます。そこが迫害を受けているユダヤ人の収容所だということは知らずに・・・。

ナチスによるユダヤ人迫害“ホロコースト”を少年目線で描いた衝撃作

 ナチス軍が引き起こしたユダヤ人への迫害の様子を、ブルーノの少年目線で描いた作品が「縞模様のパジャマの少年」です。

 劇中でもナチス軍によるユダヤ人への差別的振る舞いが多々登場します。ブルーノの家にはパぺルというユダヤの老人が、庭の手入れや芋の皮むきなどの強制労働させられていました。パぺルはブルーノのけがの手当てをしてくれるなど、優しい心の持ち主であるにもかかわらず、人並みの扱いはされていませんでした。最終的にディナーの炊事でワインをこぼしてしまったパぺルは、ブルーノの父の部下から怒りを買い、食堂の外へ連行されてしまいます。パぺルの登場シーンはその後ありませんが、おそらく殺されてしまったのでしょう。

その他にも、ブルーノの父が「やつらは人ではない」と言い放つシーンや、殺害したユダヤ人の死体焼却炉から出る煙を不思議がるブルーノなど、ナチス軍によるユダヤ人迫害の様子が生々しく描かれています。第二次世界大戦時、決して忘れてはいけない惨劇の一部を垣間見ることができる作品です。

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“わざと”の憶測を呼んだシーン

 冒頭分でも書きました、「縞模様のパジャマの少年」に出てくるユダヤ人少年が起こしたある行動が“わざと”ではないか?というネット上の憶測の詳細にせまります。

 ユダヤ人少年というのは、今回の映画のキーパーソンでもあるシュメールです。映画のラストは衝撃の結末を迎えますが、そのラストシーンに繋がるブルーノとシュメールのやり取りは、観る人によっては疑問が湧くようです。

事の発端はここから?シュメールを裏切ってしまったブルーノ

 映画の中盤、ブルーノの家にシュメールが来ます。正確には、ナチス軍によって家の家事奴隷として連行されてきました。塀越しにしか会ったことのないシュメールが目の前にいることが嬉しくなり、ブルーノはシュメールにケーキを渡します。ケーキを食べているシュメールを見かけた軍人は「ケーキを盗んだのか?」とシュメールを問い詰めますが、シュメールは「ブルーノにもらった」と弁解しました。「お前が渡したのか!」と怒鳴られたブルーノは、あまりの怖さに「僕は渡していない!彼が盗んだ!」と嘘をつき、シュメールを裏切ってしまいます。

ブルーノの悲しい結末

 ブルーノが後日収容所へ行くと、そこには目元に大きな痣ができたシュメールがいました。ケーキを盗んだとされ、罰を受けたのです。仲直りしたブルーノは、シュメールから「お父さんがいなくなってしまった」と相談を受けます。劇中では詳細不明ですが、おそらくはガス室で虐殺されてしまったのでしょう。純粋無垢な2人の少年はそんなことを知る由もありません。ブルーノはケーキの件の罪滅ぼしも兼ねて、お父さんを一緒に探す約束をします。穴を掘って収容所へ侵入を試みるブルーノ。ここでシュメールからある提案をされます。「僕と同じパジャマをこっそり持ってくるから、それに着替えてこちらに侵入すればバレないよ!」。こうして、シュメールと同じ格好で収容所へ侵入したブルーノは、シュメールと父親捜しにとりかかります。

 収容所を歩き回りシュメールの父を探す2人は知らずのうちにガス室へ連行される集団に紛れ込んでしまいます。ナチス軍の怒声のなか、訳も分からず連行される2人は、やがて服を脱がされ、暗いガス室へ送り込まれます。ブルーノが屋敷からいなくなったことに気づいた家族が収容所へ探しに来るも、暗いガス室の向こう側からブルーノの声がすることはありませんでした・・・。

ブルーノはシュメールに復讐された?

 ネット上で憶測を呼んでいる問題のシーンが、シュメールがブルーノにパジャマを着て収容所へ忍び込むのを提案するシーンです。これが一部の人々で「自分を裏切ったブルーノに対して“わざと”そのような提案をしたのではないか?ブルーノを収容所へ引きずり込もうとしたのでは?」と話題に上がりました。つまりはシュメールの陰謀説が浮かび上がったのです。

 たしかにブルーノは、シュメールにひどい仕打ちをしましたが、シュメールは純粋にお父さん探しを手伝ってほしかっただけのように思います。パジャマをこっそり持ち出すリスクはシュメールにもありますし、ガス室へ連行されるシュメールの表情は、これから何が起こるかわからない恐怖でおびえているように見えました。お父さんを見つけたいという想いしか持っていなかったからこそ感じた恐怖でしょう。それに、ブルーノに憎しみを持つような描写はなく、純粋な子供心でブルーノを許すシュメールを見ていると、この陰謀説には疑問を感じます。

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まとめ

今回は「縞模様のパジャマの少年」の“わざと”という気になる検索ワードについて調査してみました。その内容は「ブルーノに裏切られ罰を受けたシュメールが、“わざと”ブルーノを収容所へ仕向ける復讐のためにパジャマを渡したのでは?」という憶測によるものでした。ラストシーンのシュメールをみているとそうは思えませんが、このような憶測が飛び交うということは、それほど深く見入ってしまう映画ということですね。

この映画は風化させてはいけない、史実の一部を観ることが出来る貴重な映画となっています。あなたはこの映画を観て、シュメールの行動にどのような印象を持つでしょうか?ぜひご自身の目で確かめてみてください。

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