2019年に公開されたアメリカのアクション映画「ランボーラストブラッド」は、主演シルヴェスター・スタローンの人気アクション映画シリーズ「ランボー」の第5作目の作品です。
原作の小説「一人だけの軍隊」を基に映画化され、社会から孤立したベトナム帰還兵ランボーが戦争の傷跡を背負いながら描かれているアクションドラマです。
アメリカのアクション俳優シルヴェスター・スタローン主役の映画「ロッキー」シリーズに続き、本作のシリーズ映画「ランボー」は、時の映画として一斉を風靡しました。
最終章「ランボー:ラストブラッド」は完結編だけあり、期待以下にひどい映画だと酷評があった要因を探ってみました。
ランボーラストブラッドはなぜひどい?
還暦を迎えている主人公役のアクションシーンも初頭の作品とは違った鈍さや、映像にもアクション映画として見応えには欠けていたようです。
また、本作の舞台となっているメキシコにおいても、国をあげて人身売買や麻薬取引、売春などが当たり前に横行しているのではないかなど、差別的な見方もあったようです。
その為、アメリカとメキシコをまたがった過酷な撮影と、復帰作として本作は、5000万ドルの制作費に対して全世界で興行収入が予想以上に伸びませんでした。
しかし、全盛期のシルベスター・スターローンを知っていればお分かりの通り、映画「ロッキー」シリーズで大注目を浴びたアクションスターとして、映画「ランボー」シリーズを手掛けるほど多忙な俳優でもありました。
あくまでファンにとっては好き嫌いの明暗が分かれる評価です。
シリーズ最後になるストーリーの家族を愛し、守るという点で、マリアやガブリエラがランボーと家族であるのか、またランボー自身の居場所という社会性のあるメッセージがなかったと評論家からコメントされています。
ランボーラストブラッドのあらすじ
ミャンマー軍との戦闘、救出したサラとの出会い帰還から11年後、ランボーはアリゾナの実家を訪れます。
亡き父の牧場では、父の代から働くマリア・ベルトランと孫娘ガブリエラが共に暮らしていました。
大学進学を控えたガブリエラは、メキシコで実父マヌエルが生存していると知り、失踪した理由を確かめるため、友人ジゼルとメキシコへ向かいます。
ジゼルの案内でアヌエルと話ができたガブリエラでしたが、麻薬組織(カルテル)のギャングに拉致され、薬漬けにされてしまいます。
アメリカ・アリゾナではガブリエラが帰ってこないことで不安になるマリア。
ランボーは、一人でガブリエラを探しにメキシコに向かいますが、カルテルに捕まり暴行を受け、ギャングを率いるマルティネス兄弟に身分証明書を奪われてしまいます。
気を失いかけたランボーに、謎の女性カルメンは自宅へ連れていき手当をします。
そして、自分はカルテルを独自に捜査しているジャーナリストだと打ち明けます。
ランボーは、レイプされ麻薬漬けになったガブリエラを救出するため売春宿に乗り込み、脱出するが麻薬の過剰摂取でマリアに面会する前にガブリエラは帰らぬ人となってしまいます。
激怒したランボーは、アリゾナの牧場にベトナム戦争で培った罠を所々に仕掛け、攻撃に備えます。
そして、メキシコに向かうと、カルメンにマルティネス兄弟の在処を聞き出します。
カルメンの忠告を無視したランボーは、ビクトル自宅を見つけ出し、襲撃、殺害します。
翌日、ビクトルの遺体を発見したウーゴは、仲間を集め国境付近のトンネルを経て、ランボーの牧場を襲撃します。
ランボーが仕掛けた罠により次々と護衛が殺される中、ついにウーゴだけが取り残されます。
一対多で戦ったランボーもひどい負傷を追っていましたが、ウーゴを追い込み弓矢で生きたまま、心臓を抜きます。
ランボーラストブラッド概要
主人公ジョン・ランボー
元アメリカの陸軍特殊部隊のベトナム帰還兵で、様々な戦場で戦ってきた過去からPTSD(心的外傷後ストレス)により、外傷は回復したものの退役後は、一人で静かな生活を送っています。
映画「ランボー」シリーズの第1作目が、1982年に公開され、最終作である本作の公開年数を考えると実に、約40年越しのシリーズになります。
主役のシルベスター・スターローンは当初から脚本や監督としても携わっており、本作の5作目では制作にも関わっています。
ランボーラストブラッドシリーズを簡単に紹介
最終話である第5作目「ランボー:ラストブラッド」があまり好評でなかったとしても、過去のシリーズはやっぱりこれだけ続いただけに、良い映画だったに違いありません。
見直したい人のために、実績と共にサクッと前シリーズをおさらいします。
「ランボー」(シーリズ第1作目:1982年)
ベトナム戦争から帰還したランボーは見た目が怪しいというだけで、警察に捕らえられてしまいます。
戦場で過酷な経験をしていたランボーは、国のために戦ったにも関わらず、監獄に収容されたことで、孤独と怒りから脱走、警察隊と戦う状況へと追い込まれていきます。
*主人公の一匹狼で戦うというストーリー展開に、続編とゲーム化が決定。
「ランボー・怒りの脱出」(シーリズ第2作目:1985年)
警察隊との闘戦により、刑務所に収容されていたランボーは、ベトナムで行方不明になっている兵隊を捜査する任務を与えられます。しかし、ベトナムの収容所でアメリカ人捕虜が拷問に遭っている現場を目撃し、捕虜を一緒に救出を待つが、置き去りにされてしまいます。
ランボーは情報局員パオと共に収容所に捕らえられてしまいますが、ベトナム軍とロシア軍との関係を知り、脱出を試みるもパオは銃撃で殺されてしまいます。
*本作のアメリカ公開後、全米で最高興行収益を叩き出し、大ヒット作品になりました。にも関わらず、ラジー賞(最低な映画に贈られる映画の賞)は4部門で各賞を獲得しました。
「ランボー・怒りのアフガン」(シーリズ第3作目:1988年)
元上司であるトラウトマン大佐がソ連軍に捕らえられたことを知ったランボーは、救出するためアフガニスタンの要塞にアメリカの駐在部隊と潜入します。ランボーはトラウトマン大佐を救出すが、ソ連軍は最強の部隊でランボーを追い込んでいきます。
絶体絶命の状況になったランボーでしたが、イスラム兵の協力により、ソ連軍撃墜に向けて反撃していきます。
*上映時間101分間で、108人が殺されたり、死んだりしたシーンを描いたことで、本作はギネスに認定されています。
「ランボー・最後の戦場」(シーリズ第4作目:2008年)
ランボーは過去の傷を癒すため、タイの北部でひっそりと生活をしていました。
タイでは軍事勢力により人権弾圧が続き、隣国ミャンマーから少数民族を襲い、天然資源を強奪している状況の中、NGOの職員サラの依頼でランボーはミャンマーまでの一行を送り届けます。
しかし、NGO一行がミャンマー軍に捕らえられたことで、ランボーは救助傭兵とミャンマー軍を相手に、接戦へと巻き込まれていきます。
*前作から30年ぶりに復活した続編で、主演シルベスター・スターローンが監督を務めています。
まとめ
ランボーのシリーズ映画は残虐なアクションシーンや殺人、過激な爆撃シーンなどがあるため、劇場で観覧するにあたり年齢制限R-15が指定されています。
主演俳優自身が脚本を手がけているにも関わらず、評論家や日本の視聴者に酷評となったひどい映画になった理由は、先に挙げた理由のほか俳優シルベスター・スターローンのスキャンダルにも原因があったのかもしれません。