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クワイエットプレイスの怪物の正体とは!?目的や弱点、名前など

生態系の頂点を人間から奪えるものが存在したら? 2018年に公開され、大ヒットしたホラー映画、クワイエットプレイスは、そんな受け入れがたい状況を、息を飲まざるを得ないような緊張感とともに見せてくれる作品です。

 

人間のような知性はもたないものの、圧倒的野生で人間を狩るものから狩られるものに追い落とした怪物は何者なのでしょうか? 本記事では、クワイエットプレイスの怪物について、考察します。

 

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クワイエットプレイスの怪物の特徴

ここでは、怪物の特徴について見ていきます。

 

①怪物の名前

まず名前ですが、クマやパンダのような種としての名前はありません。ただ、映画の中で怪物について書かれた新聞では、「デス・エンジェル」とされており、これを一応の名前としてよさそうです。

本記事でも、ここからは怪物のことを「デス・エンジェル」と記載します。

 

②驚異的な聴覚

デス・エンジェルは、目が見えません。これは、視覚という器官が退化したためですが、代わりに聴覚が発達しています。人間の感覚だと不便に感じますが、現実の世界でも、たとえば南ヨーロッパのディナル・アルプス山脈にある、カルスト洞穴に住むホライモリという両生類は、真っ暗な洞穴の環境に適応したため、目はなく、代わりに感覚器官が鋭敏ですし、モグラも目はあるものの、メインの器官としては使わずに生活しています。

 

クワイエットプレイスの監督、脚本、出演を担当したジョン・クラシンスキー氏によると、デス・エンジェルは地球から遠く離れた惑星から来たエイリアンということになっています。

 

光がなく、重力も強い惑星で生きてきた彼らは、視覚ではなく聴覚を発達させ、強い重力の中で生きるために強靭な肉体を手に入れたと考えられます。

元々光がない惑星だったのか、光はあったが、それがなくなってしまい、過酷な環境で生き残るために適応したのかは分かりませんが、人間のような知性をもたない代わりに、野性的な強靭さを得たということができます。

 

③攻撃性が高い

目が見えないため、周囲で起こっていることを視覚的に捉えることができず、音を立てたものを攻撃、破壊することで、他の生物から身を守って生きてきたため、音の元を確認するより前に攻撃するという、極めて高い攻撃性をもっています。

 

また、音を立てずに接近されて攻撃を受けた場合に身を守るためか、外殻も発達しており、設定上では、重火器はもちろん、小型のミサイルであれば耐えてしまうほど強靭なものとなっています。

 

その強靭で重い体を支えるためなのか、四本脚で立っているときのゴリラのような姿勢で、鉤爪をつかって壁を登ることも可能、跳躍力も人間とは比較になりません。

 

初期設定では、捕食のために人間や動物と襲うというものだったそうですが、その後に設定を考えていく中で、生まれ故郷の厳しい環境の中で生き延び、その環境を考えると、食料も限られていただろうこと、隕石に乗って地球まで来るという環境にも耐え抜いたことから、体内のエネルギー効率が向上し、ほとんど食事を摂取しなくても生きられるように進化した、という考えになり、映画で描かれるデス・エンジェルになったようです。

 

④弱点

生きるために体から無駄なものをすべて削ぎ落とし、強靭すぎると言えるほどの肉体を有しているデス・エンジェルですが、そのせいなのか、水に浮くことができず、ほとんど泳ぐことができません。水を怖がるわけではありませんが、泳ごうにも泳げないと考えられます。

 

また、聴覚が発達していることが、同時に弱点にもなっています。

映画の中で、リーガンの補聴器がデス・エンジェルに襲われた衝撃でハウリングしたとき、動きが止まり、その場から逃げ出しています。ラストでは、音が弱点かもしれないと気づいたリーガンの機転により、体内の柔らかい部分を露出させ、そこをイヴリンに銃で撃たれ、絶命しています。

 

ここから考えられることは、特定の音、特定の周波数の音が苦手で、その音から逃れようとする無意識ゆえか、小型ミサイルでも破壊できない外殻から"体内"が露出し、そうなると銃一発で倒すことができます。

 

たとえば、氷点下でも寒さを感じないコートを着ているときに、真夏の日差しを延々と当てられ、耐えられなくなってコートを脱いでしまうような感覚なのかもしれません。

 

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怪物はどんな存在なのか

デス・エンジェルの特徴を見てきましたが、ここでは、デス・エンジェルの設定を踏まえ、そもそも彼らはどういう存在なのかを考えてみます。

 

①偶然地球にやってきたエイリアン

彼らは、地球から遠く、何万光年も離れた惑星で独自の進化を遂げた生命体でした。その惑星は、重力こそ地球より重いものの、以前は太陽が周囲にあり、光が降り注ぐ豊かなものでした。ところが、その惑星が存在していた銀河が、他の銀河と激突し、彼らの惑星は銀河から弾き出されてしまいます。

 

その時点で、相当数の生命が死に絶え、太陽の恵みを失った惑星は、たった一人で宇宙を彷徨いますが、星の内部は光を失ったことで生命が息絶えていき、僅かに残った生命も、少ない食料を争って殺し合いが続く、過酷な環境になっていきました。

 

光がない世界では視覚は役に立たず、生き残った生命は、視覚を退化させる代わりに、敵の位置を知らせてくれる聴覚を進化させ、過酷な環境で外敵から身を守るために、体を鎧のように変えていき、僅かなエネルギーで生きていけるように、体内のエネルギー効率を向上させるように進化しました。

 

ところが、惑星は他の惑星とぶつかっていくうちに砕け、いくつかの隕石に分かれました。隕石は四方八方に広がり、その中の一つが地球に向かっていきました。

 

デス・エンジェルは、自分たちの惑星では生態系のトップに君臨していましたが、その惑星はもうありません。それでも生きるという本能を従えて、生命を維持したまま地球に落下します。

 

デス・エンジェルからすると耐え難い大きさの音が、朝から晩まで鳴り響いている地球の環境に発狂し、音を出すものを無差別に襲って殺害し、ついには地球で生態系の頂点だった人間を、その座から追い落とすことに成功します。

 

デス・エンジェルにとっては、結果そうなっただけであり、自分たちが地球の歴史を大きく変えてしまったことなど分かるはずもありません。

 

別の星に移住するという発想や科学力もない彼らは、そのまま地球に居座り、ただ生きるために、音を頼りに危険を排除する=人間を殺害することになり、今に至る……といったストーリーが考えられます。

 

②デス・エンジェルの立場からすると……

そう考えると、気の毒な気持ちも出てくるかもしれません。

某人気マンガの戦闘民族や、宇宙最強を自負するあのお方のように、明確な侵略の意図をもっているわけではなく、圧倒的なスケールを誇る宇宙の法則に巻き込まれ、結果的に地球に来て、自分たちが生き残るために必死で戦っているとも考えられます。

 

しかし、元々地球に住む人間からすると、理由はどうあれ、デス・エンジェルはただの侵略者に過ぎず、話し合いもできずに無差別に殺していく彼らは、史上最悪の人類共通の敵であることは間違いありません。

 

どちらの立場に立つかで見方は変わりますが、第三者視点で見るなら、やはりデス・エンジェルは悪と考えるのが自然だと思います。

 

クワイエットプレイスはどんなストーリー?

怪物の正体を考察する前に、クワイエットプレイスのあらすじをお話します。

 

ある日、メキシコに落ちた隕石が原因で、謎の怪物が地球に広がり、人類は生態系トップの座を奪われます。視覚器官をもたない怪物は、見ることができませんが、驚異的な聴覚と、人間では遠く及ばない身体能力、殺傷力の強い牙や爪、強固な外殻をもち、家を歩いて床を軋ませるだけでも気づかれ、見つかれば確実に殺されます。

 

そんな絶望的な世界で生きるアボット一家の五人が、物語の主人公です。

夫のリー、妻のイヴリン、長女のリーガン、長男マーカス、次男のボーは、生き残るために手話で会話をして、歩く音を立てないために裸足でそっと歩き、水の音を立てないように洗面を使うときはタオルを水で濡らして使い、おもちゃも音を立てないものを選び、音が出るものは工夫して音が出ないようにして、なんとか生き延びていました。

 

しかし、農場の中にある彼らの一軒家の周りには、他に人間はおらず、世界の主要な都市は壊滅したことを報じていた新聞もなくなり、情報収集のために聞いていたラジオも、ほんのわずかしか受信できなくなり、五人は人類のほとんどが絶滅してしまったことを、どこかで理解していました。

 

ある日、五人はいつものように、音を立てないように移動して街の商店街に行き、必要なものを調達して帰路につきますが、まだ幼いボーは、おもちゃを動かすためにこっそり電池を持ち帰っており、電池を入れたことで動いたおもちゃが音を出し、怪物に気づかれ、ボーは家族の目の前で殺されてしまいます。

 

悲劇から一年が過ぎ、四人は生き延びていましたが、ボーが死んでしまった悲しみと苦しみは消えず、周囲に怪物が徘徊する生活に、心は疲弊していました。

長女のリーガンは、ボーが死んだのは自分のせい、自分が別の行動を取っていれば死なずに済んだと考えており、リーが「おまえのせいじゃない」と説得しても納得せず、耳につけている補聴器のようなものが不調で、雑音が大きいことも手伝って、気分が落ち込んでいました。

 

自分は家族の中で疎外されていると感じていたリーガンは、マーカスに釣りを教えると言ったリーに、イヴリンが妊娠しているから、そばにして家の仕事を手伝うように言われたことさえも、疎外されているからだと解釈します。

 

その後、産気づいたイヴリンが、子供を出産するために場所を移動する途中、物音を立ててしまったことで怪物に気づかれ、家族は怪物との対決を余儀なくさせます。

 

リーは、怪物から子供たちを守るために、リーガンに「愛してる」と告げると、身代わりとなって命を落とします。イヴリン、リーガン、マーカスの三人は、生まれたばかりの赤ん坊を守るために協力しますが、怪物は目前まで迫ります。

 

銃を構えるイヴリンですが、怪物の固い外殻は銃弾を通しません。そのとき、リーガンは先程襲われたとき、衝撃で偶然外れた補聴器から出た音に怪物が反応し、逃げていったことを思い出し、一か八か、補聴器をハウリングさせて同じ音を出します。

 

すると、怪物は取り乱したようになり、外殻の内側にある柔らかい部分を露出、イヴリンが引き金を引くと、怪物は血しぶきを吹いて倒れ、絶命します、家族は初めて怪物に勝利し、物語は幕を閉じます。

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怪物の正体は偶然の侵略者

観ているほうまで息を殺してしまう緊張感と、絶望の中でも確かに存在する絆や愛を見事に描いたクワイエットプレイスの絶対的な悪役である怪物、デス・エンジェルは、見方を変えれば同情できる存在かもしれません。

 

しかし、地球に住むものからすると、侵略者であることに変わりはなく、同情の余地はありません。それでも、彼らが地球に至るまでのストーリーを想像すると、また違った感情をもって映画を楽しめるかもしれません。

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