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フォレストガンプが「嫌い」と言われる2つ理由を解説!

フォレストガンプが嫌い

アメリカの代表映画として今も語り継がれる「フォレストガンプ」ですが、実はこの映画が嫌いという声が思いの外多くあがっています。何故フォレストガンプが嫌いと言われているのか、物語の内容を深掘りながら紹介していきたいと思います。

※一部ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

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フォレストガンプを嫌いな人の理由は?

 主人公のユーモア溢れる人生で、見た人が幸せになれそうな映画「フォレストガンプ」ですが、何故嫌いだという意見もあるのでしょうか?それは、ストーリーの中で表現されている一部が影響しているのだと考察します。

 

1.ヒロイン、ジェニーの素行

この物語の中でフォレストが思い続けている女性「ジェニー」が嫌いだという意見が最も多くあがってきました。物語の中で、フォレストは輝かしい人生を歩みながらも、いつも心の中にあるのは、ジェニーの存在です。

 

ジェニーは幼少期の頃から父の虐待に耐えただけではなく、セミヌード写真の掲載により大学を辞め、DV男と付き合い、薬に手を染め、反戦運動によりフォレストと対立するなど決して明るいとは言えない人生を歩んできました。そんなジェニーは、フォレストの気持ちをなんとなく知っていながらも都合の良い時にフォレストの前に現れたり、かと思えば急に居なくなって他の男性のもとに行くなど自分勝手な行動が目立ち、これをフォレスト視点で観ている側の人からすると「人の気持ちを弄んでひどい!」という怒りに近い気持ちが顕著に現れているのではないかと思います。このようなジェニーの行いがフォレストガンプ嫌いに結びついているのではないかと推測されます。

 

この解釈については人それぞれで、筆者はジェニーのことを嫌いだとは思えませんでした。ジェニーも様々な苦労や葛藤がありながら、少し知能が遅れているフォレストを心配し、フォレストの大きな愛を受け入れきれなかったり、それでも幼少期の頃から心のどこかでフォレストという大切な存在があったのではないかと思えるからです。フォレストと同じようにジェニーも愛情表現が不器用だったのではないか?大人になった時の2人の立場的に素直に愛し合えなかった背景があるのか?と、映画を観ていて感じました。

 

2.当時のアメリカ社会

フォレストガンプは、1950年から1980年代のアメリカの歴史を描いています。当時のアメリカはまだ黒人への差別が顕著に現れていた時代でもあります。映画のなかでも、黒人であるババの唇を馬鹿にするような発言や、黒人が大学へ入学することへの反発シーンなどが出てくるため、こういった歴史に対して「嫌い」だと感じる人も少なくはありません。

 

また、この映画はアメリカの陽の部分をフォレストが演じ、陰の部分をジェニーが演じていることから当時のアメリカ社会を表現しているとも言えます。フォレストは、自発的な意見のもとで歩んできた人生というよりは、人から与えられ、出会い、言われたことを忠実に再現してきたことで豊かな人生を歩んでいます。一方のジェニーは自分の意見で人生を切り開き、社会の中で自発的に声をあげて苦労しながら生きています。このような陽の部分の人間(=フォレスト)の行いだけが正しいのか?自発的に声を挙げて行動していく陰の人間(=ジェニー)は暗い人生を歩むしかないのか?そのような事を映画で問われているような気持ちにもなります。

 

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フォレストガンプについて

フォレストガンプは1994年に公開されたアメリカ映画です。「フォレストガンプ」という小説が元となっており、映画での正式な名称は「フォレストガンプ/一期一会」です。コメディジャンルがメインですが友達、恋人、家族の愛や幸せについても描かれています。

日本では1995年に公開され、後にアカデミー賞やゴールデングローブ賞を獲得するほどの人気映画となっていきました。

 

あらすじ

この映画は主人公であるフォレストガンプの幼少期から現在までの出来事を描いています。その中でフォレストガンプが出会う人達と共に物語が進んでいきます。

 

幼少期の頃からフォレストは周りより少しだけ知能が遅れていました。しかし母親の大きな愛情を受けてフォレストはアラバマ州グリーンボウで平和な日々を過ごしていました。学校に通い始めてからはいじめっ子の対象になりクラスメートに追いかけ回されながらも、幼馴染のジェニーと”人参と豆”のように常に一緒に行動していきます。

 

実は、フォレストは背骨を真っ直ぐにするための矯正として脚に装具をつけていたのですが、ある日いじめっこから逃れるためいつものように走っている際、その装具が外れ、壊れてしまいました。その装具が外れた瞬間、脚が軽くなったことで走ることに目覚めたフォレスト。ずっと走り続けた結果、大学のラグビーチームの練習現場を突き進み、現役選手よりも速いスピードで駆け抜けたことがきっかけで彼はいつの間にか大学のラグビーチームの選手として活躍するようになりました。そしてフォレストの走りで大学のラグビーチームは優勝し、大統領から歓迎の言葉をもらうまでに至りました。

 

大学卒業後は勧誘を受けてアメリカ陸軍に入隊したフォレスト。ここで親友となるベンジャミン・ブルー(通称:ババ)と出会います。大きな返事をして言われたことをこなす軍隊生活はフォレストの性格に見事にマッチしており、フォレストはここでも優秀な兵士として高評価を得ることとなります。”戦争が終わったら何をする?”とババと話していた際、ババの家がエビ漁をしており、ババ自身もそれを継ぐという話を聞き、フォレストは一緒にエビ漁をしないかとババに誘われます。特にすることがなかったフォレストは「YES」と二つ返事でエビ漁を快諾したのでした。

 

その後、ベトナム戦争に駆り出されるフォレスト達。戦争が本格的に始まり、多くの仲間たちが負傷していきます。フォレストもこの戦争でお尻をケガしてしまいましたが、指揮を執ってくれたダン・テイラー中尉をはじめ多くの仲間たちを救うことに専念し、ここでも走り続けます。しかし、親友のババを救うことはできませんでした。軍の病院へ運ばれ手当てを受けるフォレスト達ですが、仲間たちと共に勇敢に戦って戦場で死にたかったダン・テイラー中尉は自分を救ったこと、そして両足を失って生きていくこれからの人生の辛さとみじめさに怒りを抱き、フォレストを責め立てます。

 

その後フォレスト達は順調に回復し、今度は軍の病院で始めた卓球に目覚めます。球だけを見ていたら良いという単純なプレーがここでもフォレストの性格にマッチし、後に全米チームの代表としてアメリカに帰国、そして中国の大会に出場したり、TVでジョン・レノンと共演したり、また大統領と会うチャンスを得たりとフォレストはせわしない日々を送ります。

 

卓球が落ち着き、軍も除隊した頃、生前ババと約束をしていた「エビ漁」を始めるためフォレストはババと自分の名前で会社を立ち上げます。そして、アメリカで再会したダン中尉もついていくこととなりました。何隻もあるエビ漁の船でエビ漁に専念するフォレスト達ですが、いつも少量のエビばかりで思うようにいきません。そんな中、ハリケーンの直撃を受けてほとんどの船が破壊されてしまい、フォレスト達の船だけが生き残るという奇跡が起きました。その後はエビ独占状態で大漁フィーバーとなり、フォレスト達は一気に富豪の道へと歩き出します。ダン中尉はここでようやく”神と仲直り”することができ、生きていることへの御礼をフォレストに初めて告げます。

 

そんなエビ漁の最中にフォレストは母が病気であり、余命わずかであるという連絡を受けて実家に帰ることにします。母の看病をしながら残り少ない時間を共に過ごすフォレスト。フォレストが里帰りしてから数日後に母は天国へ旅立ちました。

一方その頃、ダン中尉はエビ漁の資金を投資しており、その企業が上場したことでますます大富豪となった為、2人はエビ漁を引退し、悠々自適な生活を送ることになりました。(ちなみにこの投資先をフォレストはよくわかっておらず”果物の会社”と発言していましたが、超有名企業のApple社のことを指しています。)

 

故郷で独り寂しく過ごすフォレスト。ずっと想い続けてきたジェニーのことを考えながら大好きな草刈りをする日々を送っていました。冒頭で登場した幼馴染のジェニーですが、フォレストは幼い頃から現在に至るまでずっとジェニーの事を考えながら過ごしていたのです。ベトナム戦争中に毎日手紙を書いたり、ジェニーを守ろうとボーイフレンドを殴ったり、彼なりの不器用な愛情表現でどんな時でもジェニーに想いを伝え続けていました。

そんな想い人のジェニーがふらっとフォレストの前に姿を表し、2人は地元で共に幸せな日々を過ごし、愛を確かめ合い、フォレストはプロポーズをしましたが、ジェニーはそれに応えることはなく数日後にはまたふわっとフォレストの前から消えていきました。

 

突然居なくなったジェニー、フォレストが取った行動は「走る」ことです。無性に走りたくなったフォレストはとにかくがむしゃらに走り続け、気が付けばアメリカを横断するまでに至りました。そんな”ただ走りたいから走ってるだけ”のフォレストの周りにはいつの間にかテレビ局が取材にきたり、メッセージ性や哲学を感じると勝手に推測されて崇拝者が共に走るなど、またもや大勢の人から注目されるようになりました。そして、モニュメント・バレー付近で突然母の言葉を思い出し、フォレストは「疲れた」と言って家に帰る決意をします。

 

走り続けた挙句、疲れて家に戻ったフォレストのもとにジェニーから手紙が届きます。「会いたい」と書かれたその手紙を見て、フォレストはジェニーのいるサバナに向かうことにしました。そこで出会ったのはジェニーと、ジェニーの子供です。しかも、子供の名前は”フォレスト”。実は、ジェニーは消息を絶ったあとフォレストの子を産んで、シングルマザーとして育てていたのでした。あまりの出来事に驚くフォレストでしたが、少しずつ我が子との距離を縮めていきます。そして、更に驚くことにジェニーが病におかされていて余命わずかであることも知り、フォレストはグリーンボウで3人で暮らそうと提案するのでした。

 

グリーンボウで3人が幸せに生活し、フォレストとジェニーは長い時を経てようやく結婚することができました。結婚式には義足で歩くことができたダン中尉の姿も見えました。

そんな穏やかな暮らしをしながらフォレストは妻・ジェニーを天国へ見送り、息子と共に生きていくこととなりました。

 

主要キャスト

◆フォレスト・ガンプ(トム・ハンクス)

周りより少し知能が遅れているが純粋で素直な性格の持ち主。自分に合うもので才能をめきめきと発揮させる。また、心優しく母親の言葉を体現しており、エビ漁で得たお金をババの家族に渡したり、教会に寄付するなどしています。

 

◆ジェニー・カラン(ロビン・ライト)

幼少期の頃、父親の虐待を受けており「鳥になりたい」と願います。その後は祖母の家に預けられるも、度々フォレストの家へ逃げ込みます。歌手になりたいという夢を持っていましたがセミヌード写真に出ていることがバレて大学を退学処分、その後も男からのDVや飛び降り未遂など、転落した人生を送ります。

 

◆ミセス・ガンプ(サリー・フィールド)

フォレストの母親。教育熱心であり、息子をとても大切に思っています。「人生は箱入りのチョコレートと同じ。食べるまで中身はわからない。」「人生に本当に必要なお金は僅かでしかなく、後は虚栄でしかない。」などの名言をフォレストに遺しており、フォレストの人生に学びを与えました。

 

◆ダン・テイラー(ゲイリー・シニーズ)

ベトナム戦争中、フォレストとババの部隊で中尉をしていた人。勇敢な戦死を望んでいたのにフォレストに救われてしまい絶望します。その後はフォレストと再会し、共にエビ漁を始めたことで生きることへの希望が芽生えます。戦争で両足を失ってしまい、車いすでの大変な生活を送っていましたがエビ漁のお陰で大富豪となり、更に婚約者ができて幸せが訪れます。

 

◆ババ・ブルー(ミケルティ・ウィリアムソン)

フォレストの親友。エビ漁の家系で生まれ育ったため、とにかくエビに詳しい。軍に入隊してからはいつもエビの話をフォレストにしていました。戦争が終わったらフォレストと一緒にエビ漁をする約束をしていましたが、戦死してしまいます。

 

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まとめ

フォレストガンプは当時のアメリカ情勢をキャストによって体現した作品です。そして、ヒロインの自己中心的だと思われる描写は、当時のアメリカ社会がもたらしたものといっても否定はできません。側から見ればジェニーは嫌な奴だと思われがちですが、筆者にはヒロインにも彼女なりの苦しみや葛藤があったが故の行動だと捉えました。

 

皆さんは、このフォレストガンプを見てどんなアメリカ社会を想像するでしょうか?どんな生き方が正しいと胸を張って言えるのでしょうか?

 

フォレストガンプを”嫌い”と思う視点ではなく、別の角度から、何回か観てみると新しい発見があるかもしれません。

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