日本でも人気のあるドラマ、ブラックリスト。
2013年から始まり、シーズン10でフィナーレを迎えた本作は、国際的な犯罪者であるレディントンとFBIが凶悪犯罪者を捕まえるために協力するというストーリーですが、主役であるリズが降板となったことで、様々な憶測が飛んでいます。
なぜリズは降板となったのか? 本記事では、その理由について考察します。
ブラックリストリズ降板の理由とされている4つの説
ブラックリストリズが降板した理由を4つ解説します。
①キャラの不人気説
リズの変貌ぶりにファンが離れていった、という説です。
リズは、シーズンを重ねるごとに成長していく、というより、変わってしまったと言ったほうがしっくりくるほど変貌していき、シーズン8においては、立派な犯罪者という状況になります。
最初はプロファイリングを武器にする新人のFBI捜査官でしたが、物語が進むにつれて、犯罪行為に躊躇がなくなっていき、荒むという言葉では足りないほど変貌した姿に、観ていてイライラする、レディントンの正体を知ることにこだわり過ぎという声もあり、その変わりようは、観るのが辛くなってくるのも事実です。
しかしそれも、リズの境遇を考えるとしかたないのでは? とも思えます。
シーズン1の最初では、学校の教師で、少し頼りないようで優しく真面目な夫、トムと幸せに暮らし、養子を迎える準備をしており、新人のFBI捜査官として希望を抱いている姿が描かれます。
しかし、そんな公私共に幸せの絶頂から、レディントンの登場によって闇に引き込まれていきます。
大切な仲間を亡くしたり、離れ離れになったり、トムを失い、母親と思っていた人物と再会できたと思ったら目の前で死んでしまい、自分の命より大切な娘との平穏な生活も許されない……あまりにも多くのものを失い過ぎて、せめて自分の人生をこんなにした男、レディントンの正体を暴いてやるという、引くに引けない気持ちになって暴走してしまうのも、もし自分が同じ状況に置かれたらと考えると、完全に受け入れられなくても、そんなふうになってしまうかも、と思えてきます。
では、それが原因で降板となったのかというと、そうとは言えません。
リズの変貌は突然始まったことではなく、死亡するのはシーズン8のラストであり、物語の流れとしても、無理やり感はない形になっていることから、その変貌ぶりに嫌悪感をもつ人がいたとしても、降板になるほどのものはなかったと考えるのが自然だと思います。
②メーガン・ブーンの妊娠説
メーガン・ブーンが妊娠したために降板となった、という説です。
確かに彼女は、2016年に子供を出産していますが、妊娠中も作中でエリザベスが妊娠したという形で演じており、二人目の子供という話もないことから、この説は有力とは言い難いです。
③ストーリーの流れ説
降板が決まったからリズが死亡したのではなく、ストーリーの流れとしてリズが死亡することから降板になった、という説です。
長編のドラマになれば、何年も続けて出演することになり、キャリアも築けますが、俳優としてキャラが固定化されてしまうという部分もあります。そのため、他のプロジェクトに移りたいという理由で現場を去ることになり、結果としてストーリーが影響を受ける、というパターンもあるようです。
しかし、メーガン・ブーンが演じるリズは、数えきれないほど大切なものを失い、FBI捜査官と名乗ることも躊躇われるほど裏社会に染まってしまったこと、レディントンがいつまでも正体を明かさず、母親(と思っていた女性)を目の前で撃たれ、永遠の別れとなったことで、精神的な限界を迎えた、という背景があります。
その結果暴走し、しかし最後の最後でやはりレディントンを撃つことができず、タウンゼント(レディントンと並ぶ国際的犯罪者)の残党が放った凶弾によって死亡という流れです。
ブラックリストは、シーズン1からリズを中心にストーリーが展開されており、シーズン9が決まっているのに、その前に主役が去るというシーズンエンドは衝撃的でした。そういったことから、様々な憶測が飛ぶのも頷けます。
しかし、プロデューサーや脚本家も、シーズン9のストーリーは前段階で決まっていたので、シーズン8はリズの最終章として書き上げたと語っており、メーガン・ブーンの契約終了に伴って強引にストーリーを変えたとは言い難く、ストーリーの流れとして自然とそうなったという説は、有力と言えそうです。
④メーガン・ブーンのキャリアのため説
最後は、リズを演じるメーガン・ブーンが、今後のキャリアのために降板を望んだ、という説です。
メーガン・ブーンは、2009年に「ブラッディ・バレンタイン3D」という映画でデビューしました。その後、2010年からはテレビシリーズ「LAW & ORDER:LA」で、地方検事補のローレン・スタントン役を演じ、2013年からブラックリストでリズを演じてきました。
ブラックリストが人気ドラマとなり、長期に渡って放送されているため、メーガン・ブーン=リズという印象をもっている人も多いと思います。
メーガン・ブーンが自身にインスタグラムでも書いているように、彼女にとってブラックリストは自分自身の人生のようなものであり、非常に貴重な経験であったことは間違いないようですが、キャリアという意味では、偏ってしまっていると見ることもできます。
そのため、メーガン・ブーンは新たなチャレンジを望み、シーズン8のシナリオができる前から制作陣と話し合いを続け、迷惑がかからないように努めていたようです。
そして、シーズン8の最終回が放送された翌日、「Weird Sister」というプロダクションを立ち上げることが発表され、現在はそちらの仕事に集中するために、女優業は行っていないようです。
こうして見ると、ブラックリストで世界的に有名になったメーガン・ブーンが、自身のキャリアのために新しいプロジェクトを望み、考え抜いた結果それは、プロダクション会社を立ち上げて経営する側に回る、ということだったと考えることができ、キャリアのためという説も有力と言えそうです。
こうして見ると、③と④が降板の主な理由と言えそうです。
キャリアのことを考えたメーガン・ブーンが、制作陣に相談。突然の降板とならないように話し合いを重ね、リズがストーリーとして違和感のない形(衝撃的ではあるものの)で退場させるようにシナリオを作っていった、というのが、メーガン・ブーン降板の真相ではないかと思います。
ブラックリスト実質主役であるリズが死亡
ブラックリストの主人公はレディントンですが、ストーリーを見ていくと、リズこそが主人公なのでは? と思えてきます。
幸せな生活から一変、元々過酷なFBIの仕事よりさらに過酷で命の危険も伴う世界へと、巻き込まれるような形で踏み込み、翻弄されながらもあがき、真相を見つけようと奮闘する姿は、主人公と言っても差し支えない存在であり、主役の役回りと言えます。
そんなリズが、シーズンフィナーレを待つことなく降板となることが発表され、様々な憶測が飛び交いました。実際、リズはシーズン8のラストで死亡し、シーズン9と10は、リズ不在で物語は進んでいきます。
では、気になる降板の理由には、どういったものがあるのでしょうか。
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ブラックリストはどんな話?
まずは、ブラックリストがどんな物語なのか、簡単に解説します。
ブラックリストは、犯罪コンシェルジュと呼ばれる国際的な犯罪者、レイモンド・レディントンが、突如としてFBIに出頭し、逮捕されるところから始まります。
レディントンは、FBIも知らない凶悪犯罪者の情報(ブラックリスト)を提供することと引き換えに、二つの条件を提示します。一つは、自分に免責特権を与えること。もう一つは、新人捜査官のエリザベス・キーン(通称リズ)と話をさせてほしいというものでした。
なぜ国際的な犯罪者が、名もなき新人捜査官と話をしたいのか? FBIの面々は戸惑いますが、リズ以外と話はしないというレディントンに対し、FBIはやむを得ずリズを迎えにいきます。
一方のリズは、夫と幸せに暮らしており、今日がFBIへの出勤初日というフレッシュな朝を過ごしていますが、そこに突然、数台の車とヘリとともにFBIが押し寄せ、連行されるように出勤、レディントンと対峙することになります。
なぜ自分が選ばれたのか分からないまま、レディントンの情報をもとに、リズは他のFBIメンバーと協力して捜査を進め、爆弾テロ事件を解決します。その後、レディントンが提供するブラックリストの犯罪者を捕まえるための特別なチームが作られ、リズもそのメンバーとなり、様々な凶悪犯を捕まえていきます。
しかし、物語が進むにつれ、実は夫のトムには裏の顔があったこと、レディントンは自分の父親かもしれないといった、リズにとっては受け入れがたい情報が押し寄せます。
また、レディントン自身も凶悪犯罪者であることから、FBIとして彼に協力することで生じる矛盾や、真実を知りたい気持ち、闇に染まっていく自分に葛藤しながらも、リズはブラックリストの犯罪者を捕まえることに全力を尽くすとともに、自分とレディントンの関係、レディントンは何者なのかを探り続けていく、というのが、大枠のあらすじとなります。
降板理由に裏があるとは限らない
世界的にも人気のブラックリストのようなドラマで、主役級のキャラであるリズが降板と聞くと、私達は何か裏があるのではないかと勘ぐってしまいます。
実際に何かある場合もあると思いますが、メーガン・ブーンのように、ポジティブな理由で降板となることもあります。とはいえ、本当だろうかと思ってしまう気持ちもあるかもしれません。そういう方はぜひ、リズの最終章を純粋なストーリーとして見てみてください。